おじんカウンセラーのとほほ通信 その43 災害時に落ち着く方法
不安になった時、落ち着くための最大のコツは、自分の呼吸に注意を向けることです。今回のような災害が起こると、恐怖反応により、呼吸が速く、浅くなりがちです。こうした恐怖反応が起こると、柔軟な考えができなくなり、デマに翻弄されてしまうこともあります。
次に、落ち着くための具体的な方法をお伝えします。
1)少しゆっくりとしたやや深い呼吸をするように心がけます。
2)次に自分の足がしっかりと地面についているところを意識します。恐怖にさらされているときには、上半身特に横隔膜より上のあたりに神経が集中し、肩や首が硬直します。逆に下半身には、力が入っていないものです。ですから、足が地面についているところを意識すると落ち着きます。
3)呼吸が落ち着いたら、気が上から下に流れていくようなイメージを浮かべます。足に向かって気が流れるようなイメージを持つとよいでしょう。こうすると、しだいに下半身にも感覚が戻ってきます。
4)身体全体が意識できるようになったら、まわりをただ眺めてみましょう。顔を上げて眺めてみると、いつもと同じ光景が展開しているかもしれません。不安におびえている人がいても、どこか客観的に見えるかもしれません。そうなったら、もう落ち着いているので、柔軟な考えもできるようになります。災害時などの危機的な状況下では、柔軟な考え方ができることが、サバイバルの最大のキーになります。
災害が起こった後、さまざまな情報が飛び交います。これが、新たなストレス因子になります。
そんな状況で落ち着くためには、入ってくる情報を仕分けするのがいいでしょう。
のべつまくなしにテレビやネットを見るのではなく、見る番組やホームページなどの情報リソースを決めておくのがよいでしょう。
不安が強い場合、あまりに煽情的な番組、激しい論争(しかも精神論)のある番組は避ける方がよいでしょうね。
災害が起こると、TVやネットなどに、さまざまな「専門家」が登場します。しかし、あまりにいろいろな意見が多すぎて、どの情報を信じてよいのかわからなくなっている人も多いと思います。
このような場合、何人かの信頼できる専門家を選び、その人達の話だけを信頼するのがよいでしょう。
信頼できる専門家は直感で選んでください。
基本的には、早口でまくしたてる人は避けましょう。そうした焦燥感を持った専門家は、時には正しいことを言うかもしれませんが、不測の事態で、自説に固執し、判断を誤ることがあります。ゆっくりと落ち着いて話す人の方が、信頼できます。
また、「わからない」という発言をする人は、実は信頼できる場合が少なくないと言うことを知っておきましょう。こうした危機的な状態の時、データが少なくてわからないことがらを、あたかもわかっているように述べることは、人々の不安を掻き立てるだけです。
自分自身も激しい論争に巻き込まれないようにすることが大切です。論争になりそうだったら、「今はその気分ではない」ということを、はっきりと述べることです。
できるだけゆっくり話す人、断定的な物言いをしない人、人をむやみにジャッジしない人とお話しされるのが、落ち着くためにはよいかと思います。
自分なりに最悪のケースを設定しておくことが必要です。
最悪のケースに進んだら、どう行動するかを決めておくことです。
この場合の最悪のケースとは、現実的な客観的な情報やデータの下考えられる最悪のケースのことです。それが自分で判断できないような場合には、自分で選別した「信頼できる専門家」の主張する最悪のケースを信頼し、それが起きた場合、どう行動するかを決めておくことです。
向後善之
日本トランスパーソナル学会 常任理事 事務局長
ハートコンシェルジュ カウンセラー