学会設立趣旨

とどまることを知らない環境破壊をはじめ現代社会はさまざまな問題を抱えています。

今ほど私たちの生き方を根本から問われている時代はありません。私たちを窮地に追い込んでいる自然災害は何か重要なことを警告してきてくれているメッセージであるのかもしれません。

しかしながら、私たちは依然として、来るべき時代の新たな目標を見出せないまま、希望のなさの中に閉じ込められているようです。

では、私たちは、どこに新たな時代の希望を見出しうるでしょうか。

私たちは“トランスパーソナル”(個を超える)という考えにそれを求めます。それは現代のさまざまな問題には、近現代の合理主義・科学主義、そして個人主義の限界が映し出されていると考えるからです。人種・性別・思想信条の違いなどを超えた人と人とのつながり、過去の世代や将来の世代とのつながり、人間と大自然とのつながり、そして、人間と人間を超えたものとのつながり。こうしたつながりを見失い、個の利益と快楽を追い求めた結果、現代のさまざまな問題が生まれているのではないでしょうか。だとすれば、〈個を超えたつながり〉の回復によってでしか、現代社会の矛盾は根本的に解決できないのではないか、と思えるのです。私たちはまた、個人の内面(心)と社会や環境とのつながりにも着目します。世界的な規模で広がる社会・環境の荒廃は、同時に、個人の内面で進行しているプロセスと一致していると考えるからです。

海外に目を移しても、こうした考えは、1960年代後半アメリカ西海岸を中心としてトランスパーソナル心理学が誕生して以来、ほかのさまざまな学問領域にも波及して、今や、世界各国で国際会議が開かれるなど、次第に世界規模の潮流となりつつあります。

日本トランスパーソナル学会は、“トランスパーソナル”という考えに関心を抱く人々が集い、研究活動や情報の交換、一般社会への普及活動、海外をも含めた研究成果の発表や紹介などをおこないます。この学会は、特定の学問領域に限定された学会ではなく、心理学、哲学、宗教学、教育学、人類学、社会学、医学、生態学、物理学、政治学、経済学など、さまざまな学問の境界を超えた学際的な学会です。また、心理療法やカウンセリング、ミュージックやアート、ヒーリング、エコロジー、スピリチュアルな瞑想や宗教的実践など、さまざまな実践活動に関わっています。学者のための閉ざされた学会ではなく、“トランスパーソナル”という考えに共鳴し、オルタナティブな個人の生き方や社会の在り方に関心を抱く一般の方々が自由に参加し、お互いの実践や思いを交換しあえる場づくりを目指していきたいと思っています。具体的には、以下のような活動をおこないます。

1. 学会大会(2年に1回)の開催。
2. 相互研修会・連続講座などのイべント(年に数回)の開催。
3. 学会誌(2年に1冊)の発刊。
4. トランスパーソナル関連の情報満載のニューズレターの発行(年に数回)
5. 学会が認めるイヴェントやワークショップの後援・公認・割引(随時)
6. インターネットでの情報提供
7. セミナーなどの動画や音声の提供

など