特別寄稿 : スピリチュアルから、現世での成功、そしてフロー・ステイトへ

特別寄稿 : スピリチュアルから、現世での成功、そしてフロー・ステイトへ
平本 相武(本学会理事)

生まれは神戸の新開地。「あしたのジョー」のドヤ街みたいなところ。
周りはみんな貧乏で、3畳一間のアパートに一家5人で住んでいる家族もいた。

実家も風呂なしトイレ共同。家の前にはヤクザの組、パチンコ屋、ソープランド、立ち飲み屋……。毎朝、日雇いの土方労働者がたむろす。
しかし貧しいかもしれないが、街には活気があったし、皆、生き生きとしていた。

中学1年から新聞配達、その後、レストランのウエイターや居酒屋の皿洗いのバイト。その中で接する、あまり幸せそうでない大人たち~お金持ちの社長や、学者、大企業の幹部~を見て、「何が、人の幸せを決めるんだろう?」そんな問いかけを始める。

高校時代は、パンチパーマで学ランは刺繍入り、ボクシング・ジムに通うヤンキー。通っていた高校ではそれが当たり前。でも、やっぱり自分は「日本の大学に行って、心理学を勉強したい! 人がよりよく生きる、科学的で体系的な方法を学びたい!」、そう思った。

しかし、周りの友達からは勉強してるとバカにされ、親からは大学なんて行かずに働けと言われ、しかも偏差値は37。高校3年で「I、my、me」も分からないほど。もちろんお金もない。それでも心理学を学びたい一心で、周囲の反対を押し切り上京し、東京でバイトしながら三浪して大学に進む。

最終的には東大の大学院を修了し、専門学校での心理学の講師、病院やクリニックでのカウンセラーに。「こころ」に関わると同時に、「体」を使うビルの窓拭きの仕事も。本気で「今ここ」を感じたくて、高層ビルでも命綱をつけずやっていた。

「今ここ」……過去や未来に意識が向いておらず、100%今にいる意識状態。
真っ青に透き通った空のように、思考や考え、頭のおしゃべりがない、この身体の内と外で起こっていることをただ見守っている、瞬間瞬間、今ここに覚醒している状態。

「今ここ」を追い求め、「幸せとは何か?」の答えを探すべく、16歳の頃からありとあらゆる種類のセミナーに手当たり次第参加した。自分でもセミナーを開催するようになり、当時より人から「その人らしさ」を引き出すのが本気で好きで、命がけでやっていた。

仕事をし、そこそこ充実した生活だったが、阪神淡路大震災で両親を亡くしたのをきっかけに米国への留学を決意。シカゴの大学院でアドラー心理学を学びながら、貧民街の小学校やイリノイ州立刑務所でのカウンセラーをしていた。

英会話が得意ではなかったお陰で、言葉以外のボディランゲージや表情など、五感を使ってのコミュニケーション・スキルがさらに磨かれた。

コーチングや、アンソニー・ロビンスとの出会いに後押しされ、「日本を元気にしよう!」と決意して、2001年9月に米国から帰国。

手元に10万円のみ、家もないし頼れる親戚もいない。友人の家に居候して、寝袋生活。しかし悲観することはただの一度もなく、「絶対にコーチングで1人でも多くの『その人らしさ』を引き出して、1人でも多くの人を元気にする!」と希望に燃えていた。

というのは、結局、これまで本当の意味で人の役に立っていなかったことに気づいたからだ。現実逃避をやめ、世の中に貢献する。今まで吸収し続けた技術・経験をすべて、これから出会う人のために使おうと一大決心した。

「どうしたら、より多くの人を幸せに出来るだろう?」
「どうしたら、どんな人間でも絶対に夢を叶えられるという見本になって、皆を勇気づけられるだろう?」そう問い続けた。

帰国後は、公開セミナーや大手企業の研修の仕事が順調に決まっていき、2年で表参道に引越し、会社設立。

これは自慢話ではなく、「お金がなくても、コネがなくても、本気でやればゼッタイできる、ということを、身をもってみんなに伝えたい。こんなに貧乏で頭が悪かった自分でもできたんだから、「あなたもゼッタイできる」と。

人生には、どんな人にも、必ず波がある。どんな会社、どんな人も、生まれてから死ぬまで、ずっと上り調子なんてあり得ない。うまくいかない時期はまず現状を受け入れ、逃げない。必ず、道は開けてくる。その期間は一見つらいが、多くを学べ、大きく成長できるいい機会。うまくいかない時をどう過ごすかで、その後の人生が大きく変わってくる。

「失敗は学びの機会」だ。

人は一人一人違う。今の時代、「何が幸せ? どうしたら幸せ?」も一人一人違う。

そんな時代だからこそ、しっかり自分の軸をみつけ、それを精一杯生きてほしい。自分らしく生きていったら、必ず周りの人にもいい影響を与えるし、本当の意味で心から貢献できるようになる。この世に必要のない人なんていない。

みんな、一人一人が自分らしく輝き、しかもお互いに協力しあえる世の中、そんな世の中を確信してほしい。