2009年10月11日東北支部セミナー「第4回 やさしい読書会」のお知らせ
日本トランスパーソナル学会東北支部 主催
第4回 「やさしい読書会」
使用する書籍 『 魂のアイデンティティ 心をめぐるある遍歴』
著者:西平 直(京都大学教授)
本の内容 : 不登校の子と筆者の関わりの体験に即したフィクション。筆者にとっての心象風景としての体験の記録です。生きることはなぜこんなに苦しいのか? <ものの見方>はどうしたら変わるのか? 「アイデンティティ」とは?
進め方 : 10人ほどの参加者と共に作っていく「場」です。本を1行1行ゆっくり読み進めながら、心に浮かんだこと、感じたこと、考えなど、自分の体験と絡めたり、沸き起こってくる想いをそのまま自由に表現していきます。他の参加者の経験からの想いや考えなどもたくさん聴くことができます。
日 時: 第4回 平成21年10月11日(日) 13時~16時30分
場 所 : 仙台市市民活動サポートセンター 研修室2
〒980-0811 仙台市青葉区一番町4丁目1-3 (022-212-3010)
参加費 : 全6回参加~8,000円 各回参加~1,500円(当日お支払いください)
【日程】 全6回 ~ 4月12日、6月28日、8月23日、10月11日、12月5日、22年2月21日 の各日曜日午後を予定
※ 今回は第4回目です。 第1回目(4月12日)、第2回目(6月28日)、第3回目(8月23日)は終了しました。
※ 「第1回 参加者からの感想」、「第2回 参加者からの感想」を、東北支部情報に掲載しました。どうぞご覧ください。
※ 第1・2回で、【Ⅰ 仮面のアイデンティティ ―本当の自分とは何か―】、第3回目で、【Ⅱ 実存的アイデンティティ ―信仰のアイデンティティをめぐって―】 が終わりました。第4回目は、【Ⅲ 心のアイデンティティ -無意識的なエネルギー―】 に入ります。
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年間3万人を超える自殺者、大人・子どもに広がるウツ状態、経済不安
息つく暇もない、心に余裕のない時代!
不登校、リストカット、発達障害、クラス崩壊、KY
「普通」って何? 「みんな同じ」でなければダメなの?
安心して心を開ける人がいない、満たされなさ、空虚感、空しさ
「他人も自分も、信じられない!」
温暖化、自然破壊、環境汚染、世界経済破綻、政治不信、戦争
「どうにかならないの?」
<下記内容は、使用書籍 『魂のアイデンティティ 心をめぐるある遍歴』 から抜粋しています。>
もし、アイデンティティが同一性であり、一貫しているならば、信仰こそその最もたるものである。とりわけ、一神教の、ましてカルバン派の信仰は、「選ばれし者」の自覚を伴って、妥協することなく、強いアイデンティティをもたらす。 ・・・・・
いくつか疑問を並べて見せたが、何度でも繰り返しでてきたのは、「信仰の排他性」をめぐる問題であった。 ・・・・・
問題は、自らの信仰のみを真理として、他の信仰を外に排除し、それと戦うことによって「身内」の結束を強め、アイデンティティを強めようとする、まさにその点だった。・・・・・
アイデンティティを確立すれば、それで事足りるどころか、むしろ、それが故に、差別が起こり、排除が始まり、憎しみが育ってゆく。その絶望的な必然性を見極めたのが、アイデンティティという言葉である。・・・・・
むろん、教会から離れることによって、アイデンティティは揺らぐ。その揺らぎの中でこそ、信仰の純粋さが守られる。・・・・・
宗教史上、形を変えて何度も繰り返された、個人の信仰と教団の信仰をめぐる葛藤。・・・・・
【Ⅱ 実存的アイデンティティ ―信仰のアイデンティティをめぐって―】 より抜粋
苦しい体験をするから、こういう本がよくわかる。苦しさと引き替えに、文化遺産を受け継いでゆく。だから、この苦しみにも意味がある。・・・・・
彼は、自分が分からないと、何度か言った。自分は、どこまで自分の意志にしたがって行動しているのか、わからない。自分でコントロールできるのは、自分のほんの一部ではないか。・・・・・
もしアイデンティティが、その医者の言うように<意識的に定義できる自分><自分で作り上げる自己像>という意味であるなら、それが自分のすべてだとは思わない。それは、結局、周囲に同調しながら、自分を抑え、自分を縛り、自分で自分を自己限定してゆくことと同じである。・・・・・
「・・・・・僕らは、自分の細胞の内側に、過去幾百万人の怨念を堆積させているような気がする。」 彼がそういう時、それは、単なるレトリックを超えた真実と言うことになる。・・・・・
そして、その「記憶」の働きが抑圧され、切り捨てられる時、身体リズムが狂いだす。生命リズムが乱される。それが、現代社会の息苦しさではないか。だから、みんな「何かおかしい」と言うのではないか。・・・・・
個人の理性とか、良心とか、社会常識とか、そうした意識のコントロールをかいくぐって、じわじわと、体の内側からにじみ出し、ふと気がつくと、自分がその罠に落ちている。それはどうにもならない。抵抗しても、結局、のみ込まれる。長い時間たってみると、結果としては、「業」に従っている。・・・・・
【Ⅲ 心のアイデンティティ -無意識的なエネルギー―】 より抜粋
東洋の思想は、人の心の理(ことわり)を説く。心が変わると、現実も変わる。現実の異なる姿が見えてくる。浅い心は浅い現実を見、深い心は、現実の深い層を見る。現実はひとつではない。心の持ち方、意識の在り様に応じて、異なった現れ方をする。
心と現実は、相互に関係し合っている。ごく大ざっぱに言えば、東洋の思想は、こういう構図を持っている。
その広がりの全体を、ひとつにくくって見せるだけの言葉はないとしても、例えばそこに、この 「トランスパーソナル (個を超える)」 という言葉を置いてみると、ゆるやかな共通項が見えてくる。閉じた 「個人」 を守るのではない。 個人を超えた地平で考える。個人と個人の 「関係」 から見る。個人が成り立つ 「場」 から見る。その場を成り立たせている 「環境」 から見る。そうした視点。
【Ⅳ トランスパーソナルなアイデンティティ ―自己をゆるめてゆくこと― 】 より抜粋
何のために生きるのか。なぜ、この地上にやってきたのか。なぜ、この <わたし> として生きてゆかねばならないのか。
何のために、日々苦しみ続けなければならないのか。それに対する答えが見えてくる。というより、その問いを正面から受け止める。その問いを 「無意味」 と拒絶することのない地平が開かれる。
【Ⅴ スピリチュアルなアイデンティティ ―魂のアイデンティティという視点― 】 より抜粋
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