会長・諸富からのメッセージ 2011年3月
緊急メッセージ 震災・トラウマにかかわって、今、必要なこと
4月23日24日 「自分創造」ワークショップ開催迫る!
みなさん こんにちは
諸富です。
私もそうですが、東日本大震災によって身の震えるような思いで日々を過ごされている方も少なくないことと思います。
しかし、今、このような時こそ、私たちが学んできたことを大切にしていくべき時です。「今・ここ」で起きていることへの気づき(アウエアネス)を生かしてほしいのです。それが自分自身を保ち、そしてほかの方の気持ちを支えていくうえでも役に立つからです。
では、どのようにして?
①まず、ご自分の体験されていることを、信頼できる人と言葉にして分かち合ってください。
「みんなも不安なんだ。だから私も我慢しよう」・・・これが一番よくありません。
友人でも、親子で、恋人でも、もちろん夫婦でも・・・・自分が体験されている気持ちを、抑え込んだりせずに、安心できる方と言葉にして分かち合ってください。
「つらいね」「不安だね」お互いに気持ちを言葉にして分かち合っていきましょう。
②自分の体験されている、不安、おびえ、悲しみなどを文章や絵で表現されてみてください。
ポートランドのダギー・センターにうかがったときのことです。ここでは、両親を事故で亡くした子どもたちの心のケアがおこなわれています。施設の壁、一面に、両親が事故にあった場面が、絵に描かれていました。なかには、阪神大震災で両親を亡くした子供が書いた絵もありました。
そしてそこに、エリザベス・キューブラ・ロスさんの次の言葉
「悲しみを忘れないように」
が記されていました。
自分の体験をちょっとした表現にしてみましょう。
③次は、少しだけ、上級編。だけど、とても簡単なことです。
今自分が体験していること、たとえば「余震によって揺らされる不安」でしたらそれを、両手を動かしながら、数分間表してみましょう。
それだけでも少し落ち着いてくる方もいるかもしれません。
さらにいいのは、「揺らされる側」にとどまらず、「揺らしている側」の動きをほんの数十秒でいいので、おこなってみることです。それによって、私たちの意識が、「いつ何がくるかわからない不安におびえている自分」から離れていき、「脅えている気持ち」から、少しでも距離がとれるようになっていくかもしれません。
(これは、プロセスワークから学んだことです)
④最後に、まず5回くらい、ゆーーーーっくり、深呼吸をして、自分のまわり、自分の内側でおきていることを「ただそのまま、あるがまま」に眺めて、認めていきましょう。そうした姿勢を保つことで、「脅えている自分」から少し距離をとって、それを見つめている「自分自身」を少し取り戻すことができます。「あぁ、こんな気持ち、ここにあるなぁ」と、そこで起きていることのすべてをただそのまま認めていく姿勢を保つのです。(これは、フォーカシングのクリアリング・ア・スペースなどから学んだ、脱同一化の知恵です)
いかがでしょう。
できそうなものから、少しでも、お試しになってください。
そして、自分が自分の不安と少し距離がとれたら、まわり方の不安に耳を傾けてみましょう。
⑤今、周囲の人とのかかわりで必要なのは、アドバイスでも、ましてや説教や励ましでもなく、「相手の不安を、ただそのまま受け止め、聴いていく」ていねいな「傾聴」です。
このことを今こそ、改めて、心にとどめましょう。
これは、子どもたちにかかわっている教師や保育士さんたちにも、とても必要なことです。
さらに、今回は、スペシャルなプレゼント
このHPに、プロセス指向心理学の創始者、アーノルノ・ミンデルさんからの緊急メッセージが届けられていますので、ぜひ、ご覧ください。
また、以下に紹介するのは、私が監訳した『自己変容から世界変容へ』(コスモスライブタリー)の著者である天才派のセラピスト、ゲリー・リース氏によるトラウマ関連の3つのエクササイズです。昨年の日本でのワークショップでおこなわれたエクササイズですが、ゲリー氏のご好意、さらには、日本プロセスワークセンターのとこさんのご厚意により、プロセスワーカーの坂本ひとみさんによる和訳、転載させていただきます。
なかなか、むずかしいところもあると思いますが、少し気持ちに余裕があるときに「自分なりにできるところ」まででもおこなってみてください。今回の悲しい出来事を通して何を学ぶことができるのか・・・・大切な発見をされる方も少なくないと思います。
①<エクササイズ:トラウマを解放するためのワーク>
このエクササイズの目的はトラウマのために凍り固まってしまった状態との取り組みを学ぶこと、そしてワークする途中でトラウマを再び受けてしまわないように、「溶かす」過程をコントロールしながら行うことを学ぶことです。
- これまで自分の人生で体験したトラウマを一つ挙げます。
- それはどのようなトラウマでしたか。
- そのトラウマを感じたり、それに反応するのではなく、ただトラウマに対して固まってみてください。この固まった状態では何が起こるか、そして、凍り固まるとはどんな感じかに、ただ気づいていってください。この固まった状態は、トラウマのショック状態と関係しているかもしれません。このトラウマに関して自分はショック状態にあるのかどうかに気づいていってください。
- 今度は「自分には温度計をコントロールすることができる」と想像し、その凍りついた状態から自分を少し溶かしだしてみてください。
- このときに感情を感じる必要はありません。ただどんな感じがするかについて語ってください。
- 今度は、その感じの中から二つ選んで、両方の手にひとつずつ入れてみてください。その感じを手の動きで表してみます。エッジに気をつけながらやっていってください。(エッジとは行き詰まったり、ことばや動きや感じの表現が未完了になる瞬間のことです)
- 片方の手の動きを選んで、さらに続けていってよいか、自分自身にたずねてみてください。どちらの手の動きをもう少し深めたい気がするでしょうか。
- その動きをしながら、まだ動きが凍り付いている感じがあれば、1、2分でもよいので、さらに動きによる自己表現を自分に許してみてください。
- 自分でコントロールしながらこのエネルギーをいくらか解放するのはどんな感じだったでしょうか。動きで表現したとき、恐怖のレベルはどうだったでしょうか?少しでも解放された感じ、ほっとした感じがあったでしょうか。また、この後さらに自分にとってどのようなワークが必要かが少しわかってきたかもしれません。この後続けるとしたら、溶解のプロセスをさらに進めていくのが次のステップとなるでしょう。
②<基本の大地の瞑想>
- 2、3回深呼吸してください。
- 次に、頭のてっぺんから足の先までスキャンしながら、自分の最も深いプロセスは今時分の体のどこにあるかを感じ取ってみてください。この体の部分に何度か息を吹き込みます。
- この体の部分をじっくり感じ取ったら、今度はそれを動きで表してみてください。
- この動きにぴったりな地球上の場所はどこでしょうか。
- 想像の中でこの場所に行ってみてください。においを嗅いだり、音を聴いたり、感じ取ったり、見回したりしてみてください。そこにいると呼吸がどのように変わっていくかに気づいていってください。そして、徐々に変性意識に入りながら、この場所自身と一体となり、その場所に自分が変身していくのを感じていきます。
- この場所のエッセンスは何でしょう?この場所から立ち上ってくるエネルギーや気づきを一言でいうと?
- この特別な状態をさらに保ちながら、自分が取り組んでいる環境問題へのアドバイスを受け取ってみてください。何か情報を受け取ったらそれを書き留めます。
③<環境や自然災害のための大地のワーク>
このエクササイズの目的は、大地自身が環境問題や自然災害への取り組み方を教えてくれることを体験することです。
- 自分が惹き付けられている環境問題、あるいは自分が影響を受けている/受けたことのある自然災害を一つ挙げます。
- 自分の大地の場所を思い出し、その場所に想像の中で行ってみてください。そこに行ってみると、呼吸や意識が自然に変わってくるのに気づいてください。
- 次に、#1で挙げた問題に含まれる2つの部分について考えていきましょう。影響を与える側をXのエネルギー、影響や打撃を受けた側をY とします。(例;木工関係者がXだとすると、木はY。地震がXだとすると、地震によって打撃を受けた側がY)
- XとYのエネルギーをそれぞれ動きで表現してみてください。
- 自分の大地の場所につながりながら、XとYのエネルギーを絡み合わせるように、行ったり来たりしてみましょう。それぞれの部分になって言葉を発したり、動きで表したりしてみてください。
- あるところで、自然に体が動いていく感じになってきたら、この二つのエネルギーを合わせるダンスを生み出していきましょう。ダンスを創り出しながらも、自覚を保って、何が起きるかに気づきながらやってください。ここの部分は時間をとってやりましょう。
- このパワー・ダンスを続け、軽い変性意識を保ったまま、先ほどの環境問題や自然災害についてどうしたらよいか、教えやメッセージをもらってください。
- 必ずこれを書き留めて、そのメッセージを実行に移してください。
また、このような時に、これまでの自分の人生を振り返ろうとされている方も少なくないと思います。
人生となにか。
生きる意味とは何か。
なぜ、死は突然襲ってくるのか。
こうした実存的な問いを問わざるをえなくなるからです。
私の近著『「とりあえず、5年」の生き方 「逆算式人生5ケ年計画法」による「悔いのない人生」のつくり方』(実務教育出版)もお役立てください。
この本には、さまざまな書き込み式ワークショートも入っています。書くだけで、自分を見つめる「セルフ・カウンセリング」の効果があるものです。
- いつかしたい、そのうちやってみたいと思っていることは、先延ばしせず、今、しなさい。そのうちしたいと思っていることは、前倒ししてどんどんおこなっていきましょう。
- 人生でもっとも大切なものは時間です。なかでも最も大切なのは、大切な人とのふれあいの時間です。なぜならそれは、二度と戻ってはこないからです。仕事のスケジュールを手帳に書き入れる前に、大切な人とのふれあいの予定(例:娘と映画にいく時間、恋人と食事にいく時間など)を先に入れてしまいましょう。
- したいかしたくないか自分でもよくわからないことは、しない、と決めましょう。そんんな無駄な時間は、あなたにはないのですから。だらだらと習慣化した無駄なことに時間を浪費しないように、NOT TO DO リスト(これはしてはならない、ということのリスト)をつくりましょう。
- いったん立てた目標に固執するのは、やめにしましょう。無駄だと思ったら、思い切って捨て去りましょう。
- 2週間以内に何もはじめない人は結局、いつまでたっても何もしない人です。人生を変えるためには、どんな小さなことでもいいので、2週間以内に何かを実行することです。
いかがでしょうか。
また、こうした考えを含め、これからの自分の人生をどう生きていくか、さまざまな心理学の手法をフルに使いながら感じていく、気づいていくワークショップを4月23日24日におこないます。
自分創造ワークショップです。
例年と基本的な骨格は同じですが、新しく書いている本の内容なども含めて、リニューアルした「とってもハッピーで、でも深い気づきと学びが得られる」今年最初のワークショップにしたいとおもっています。
クランブルツの「プランド・ハンプンスタンス」、ユングの「シンクロニシティ」のほか、実存主義の諸思想、ミンデルのプロセスワーク、フォーカシング、「フロー」などの考え方を、とことん、楽しく、わかりやすく、また効果的に伝えていきます。
こうしたワークショップははじめて、という方も、教育やカウンセリング、コーチングなどのプロの方、人事担当の方・・・・そして何より、これからの人生をどう生きるか、最新心理学の知恵を総動員して考えていきたい方・・・ぜひ、ご参加ください。
これまでの人生をふりかえり「自分らしさ」を生かした人生を歩んでいきたい方、カウンセリング、教育、人事、コーテング、キャリアアドバイザー、福祉など、「人の人生」にかかわる仕事や勉強をしている方におすすめのワークショップです。
さまざまな割引コースも設定してあります。このホームページの「割引コースのご案内」をご覧ください。
Contents
日程・会場
【講師】 諸富祥彦
明治大学文学部教授、日本トランスパーソナル学会長、臨床心理士
【日時】 2011年4月23日(土)10:00~17:15
24日(日)10:00-16:40
【場所】 都内
* 会場は問い合わせのあった方にご連絡します
【参加費】 参加費28,000円
1日のみ参加費16,000円
*アウエアネス会員2,000円割引
(昨年までに本研究会に参加された方の割引)
*日本トランスパーソナル学会会員1,000円割引
申し込み先
1)ご希望のワークショップ名
2)お名前
3)郵便番号・住所
4)連絡先(電話、FAX、Eメールなど)
5)トランスパーソナル学会会員、アウエアネス参加有の場合はその旨をご記入の上、
メール、ファックス、郵便のいずれかでお申し込みください。
気づきと学びの心理学研究会<アウエアネス> 事務局
郵便の場合:〒101-0062
東京都千代田区神田駿河台1-1 明治大学14号館6階B611
「気づきと学びの心理学研究会事務局」Eメールの場合
*FAXの場合
03-6893-6701
ほかにも、次の本が発売中です。
最新刊、できたてホヤホヤの『明治大学で教えていく「婚育」の授業』(青春出版)。大学でおこなっている「結婚能力育成トレーニング」の実際が紹介されています。
『読むだけで心のクヨクヨがふっきれる22の方法 (王様文庫)』。
この本は、人の目を気にせず、自分らしく生きるための技術を、わかりやすく、さらっと伝えてあります。
だけど、読んでいただくと、わかりますが、結構深い内容も書いています。
また大好評の『男の子の育て方』につづいて多くの方に読んでいただいているのが『女の子の育て方~「愛され力」+「自立力」=「幸福力」。0~15歳児の親が必ずしておくべきこと。~』 です。
わが娘にしあわせにってほしい・・・と願うすべての親御さんに「女の子がほんとうに幸せになるための、とっておきの秘訣」をわかりやすく伝えてあります。
自分一人でも生きていける「自立力」と、「愛され力」の二つが、女の子の幸せのキーワードです。
最後に、カウセリングを学んでいる方、教えている方、カウンセラーの方、傾聴を学んでいる方・・・すべての方にぜひ読んでいただきたいのが、今年一番の労作『はじめてのカウンセリング入門』(上 ―カウンセリングとは何か)(下 ―ほんものの傾聴を学ぶ)の2巻です。
この2冊を読むと、カウンセリングの一番大切なことがわかる・・・そんな「決定版」のつもりで書いた5年越しの力作です。ぜひお読みください。
では、また・・・。
以下の本もよろしく!
- 『教師の悩みとメンタルヘルス』(図書文化)
- –悩める教師を支える会 10周年の実
- 『魂のとびらをひらく 125の気づきの言葉』(集英社be文庫)
- –1日30秒で気づきが得られる、とても深い内容の本です。
- 『自己成長の心理学 人間性/トランスパーソナル心理学入門』(コスモスライブラリー)
- –記念すべき100冊めにふさわしい、私の本のベストアルバムのような内容です。
- 『絶対幸福の法則―うまくいっている人が、なぜか幸運を引き寄せている秘密の習慣』(ビジネス社)。
- 『読むだけで心がスーッと軽くなる44の方法』 (三笠書房 王様文庫)
- –かわいいイラスト満載で、予想以上の出来栄え。タイトルどおり、とても気楽に読める本です。最近、再販決定しました!
- 『死ななくてすむ人間関係の作り方―無理しないで生きるための心理学』(アスペクト 文庫)
- –「ビバ!依存症」など、かなり毒々しい刺激的なメッセージ本です。
- 『フォーカシングの原点とその臨床的展開』
- –これまでになかった骨太なフォーカシング本!
- 『ジェンドリン哲学入門』(コスモスライブラリー)
- –日本ではじめてのジェンドリン哲学の入門書
- 『11の徳を教える道徳授業』(明治図書)
- 『クラス会議で学級が変わる!』(監修 明治図書)
- –ある教師による、アドラー心理学による学級経営の決定版!