自著紹介 : 『病をよせつけない心と身体をつくる』

自著紹介 : 『病をよせつけない心と身体をつくる
クリステル・ナニ著 菅 靖彦訳 草思社
菅 靖彦(翻訳家)

病をよせつけない心と身体をつくる―直観医療からのメッセージ

 面白いスピリチュアル・ブックを翻訳したので紹介します。読むクスリになるような、非常にさわやかな本です。人が病気になる仕組みをこれほど明快に解き明かしてくれる本はめったにないかもしれません。

生粋のニューヨーカーである著者のクリステル・ナニは、直観医療者として、現在、国際的に活躍しているスピリチュアル・ヒーラーです。「直観医療(Medical Intuitive)」とは、人々の病の原因を、その人物の気やエネルギーの状態から直観的に読み取る診断法を指します。この言葉をはじめて世界的に有名にしたのはアメリカ人女性、キャロライン・メイスです。キャロラインは最初、新聞記者として出発し、スピリチュアルな世界とは無縁の生活を送っていましたが、精神的な不調におちいったことがきっかけで、人々の病の原因を直観的に透視できるようになりました。そこで1984年頃から、ノーマ・シーリー博士という神経外科医とタッグを組んで直観医療の技術を磨き、直観医療の科学というものを築き上げていったのです。その結果が『健康の創造:心と体をよい関係にするために』(中央アート出版社)という本になって結実し、世界的な評価を得ることになります。 

 1992年、二人は直観医療の教育プログラムを作り、直観医療者の育成をはじめました。その結果、現在では一万人以上の直観医療者が活動していると言われています。1996年、キャロラインは長年の研究成果を『7つのチャクラ:魂を生きる階段 本当の自分にたどり着くために』(サンマーク出版)という本にして出版し、直観医療という言葉を世界的に広める役割を果たしました。

 著者のクリステル・ナニはキャロラインの教育プログラムで直観医療ができるようになったわけではありません。8歳のとき、突然、自分が透視能力をもっていることに気づいたのです。本書はそのときのエピソードからはじまります。クリステル自身は自分の特殊な能力をうとましく思っていたようです。そこで、彼女は大学で西洋医学を学び、ニューヨークのもっとも忙しい病院の救急病棟で看護婦として働きはじめました。そこで16年間働いたのですが、その間、医師が患者を診断する前に病気とその原因がわかってしまうエピソードが続出したそうです。自分の診断が正しいことは、後の医学検査で明らかにされたと言います。

本書の前半部分は、子ども時代の不可思議な体験にはじまって、救急病棟の看護婦になり、数々の神秘的な体験をするエピソードが綴られています。それらの体験はまことに興味深いものです。救急病棟は彼女にとって直観医療の技術を磨くための格好の舞台になったのです。

自分の特殊な能力を最初はうとましく思っていたクリステルも、最後にはそれを一つの恵みをとして受け入れるようになり、人々の癒しのために活用するようになります。直観医療はエネルギー医学や波動医学として語られることもあり、本書の中でクリステルは25以上のケーススタディを取り上げながら、エネルギー医学の観点から見た病の原因、エネルギーを高める方法、エネルギーを枯渇させる信念、思考や感情の身体への影響、情緒的なパターンと病の関わり、乳癌や前立腺癌の引き金となる要素などを分かりやすく解説しています。クリステルが他の直観医療者と大きく異なる点は、直観で病の診断ができるだけではなく、病を癒す力をもっているということです。 

現在、日本は空前のスピリチュアル・ブームだと言われています。このブームは日本だけのものではなく、世界的なものです。とくにアメリカでは、昨年“The Secret”1という本が発売されたのを機に、Law of Attraction(引き寄せの法則)というスピリチュアルな法則がクローズアップされています。実は「類は友を呼ぶ」というこの法則こそ、直観医療のベースになっていることが、本書を読み進めていけば、分かると思います。

原題は“Diary of a Medical Intuitive”2(直観医療日誌)。クリステルは現在、個人カウンセリングに加え、ワークショップや講演活動などで、国際的に活躍の舞台を広げています。