「病態水準/健康次元」とプロセスワーク

「病態水準/健康次元」とプロセスワーク

1)「病態水準/健康次元」について
理解すること/繰り返し学ぶことは、
腕一本で、喰える、職人的、腕の良い
セラピス/コーチ/ファシテーターになる上で、必須/前提です!

2)このセミナーでは、みなさまが
こころについてより深く学ぶと共に、
プロの対人援助職としてやっていく上で実用的/実践的な
「病態水準/健康次元」について、その基本から、応用、最新まで、
あますところなく、限られた時間内ではありますが、お伝え致します。

3)<パートナーとの関係を良くしたいと訴える
優柔不断さがテーマのある男性との例>

(私は、)彼女が、○○をやっておいてくれると思っていたんですけれども、
やっていてくれていないので、そのことを言ったら、
「私はそんなことは聞いていない」と言われました。

彼女と私の仲は基本的には良いんですけれども、
ちょっとですけれども考え方、生き方/生きる方向性の違いを感じました。

という話しをセラピストが聞いたとしましょう。

4)ここには、いろいろな関わり方が(無数に)ありますが、
一般的なプロセスワークでは、
この男性クライアントに、パートナーの役割(ロール)を取ってもらい、
その役を演じながら、その中にあるドリーミング/元型的エッセンスを
探究してもらいます。

そして、「優柔不断な」この男性
~「優柔不断さ」は、通常のプロセスワークでは彼の一次プロセスと捉えられます~
と違う、たとえば「パワフルさ」が、彼が演じた女性ロールの中につかめたなら、
そのパワフルさを、この男性クライアントが生きるように、応援していきます
~「パワフルさ」は、彼の二次プロセスです~。

5)しかし、このアプローチは、果たして上手くいくでしょうか?

答えは、イエスであり、ノーです。

理由の一つは、病態水準/健康次元にあります。

プロセスワークは、他の全ての心理療法、コーチング、ファシリテーションと
同様に、決して「全能/万能」ではなく、『コンテキストに依存』しています。

代表的なコンテキスト/文脈は、病態水準/健康次元です。

逆に言うと、このセミナーでは、
病態水準/健康次元をコンテキストの一つとして捉え直していきます。

そのことによって、プロセスワークが、現場で役に立つ/有用な、
多次元的ワークになります。

病態水準というコンテキストを組み入れた多次元的/虹のプロセスワークを、
私たちは、『臨床的』プロセスワークと呼んでいます。

6)さて、上の男性の例ですが、

もし男性に、ある程度の健康な自我主体が形成されていれば、
答えは、イエスです。 一般的なプロセスワークは、有効です。

しかし、主体が、未熟だったり、あまり育成されていれば、「ノー」です。

通常のプロセスワークは、有益ではなく、機能しません。

7)ある程度の主体がある場合、彼/彼女は、
病態水準/健康次元的には、
「神経症水準」か、「軽度のパーソナリティ水準」にいる/あると考えられます。

それらの病態水準の人には、一般的なプロセスワークが有効です。

8)しかし、「重いパーソナリティ水準」や「精神病水準」にいる人には、
どうでしょうか?

一般的プロセスワークは、残念ながら効き目がありません。

9)上記の男性は、マーガレット・マーラーが言う「共生期」、
病態水準的には、
~かつてフロイトが「自己愛神経症」と言い、
神経症水準と誤診した、
しかし、まぎれもなく重篤な「自己愛的テーマを抱えた」
「軽度ですが、精神病水準」で、苦しんでいました。

10)そこで、私たちは、コフートの「鏡映転移」や「双子/分身転移」を
思い浮かべながら、

また、井筒俊彦の「神秘主義の定義」や

『モモ』の灰色の男とのやり取りを思い出しながら、

さらには、今回ミンデルが「システム・マインド」セミナーで、
新たに定義しなおした『共感』を振り返りながら、

加えて、ダニエル・スターンの「情動調律」を活用しながら、

彼の未成熟な自我主体を応援していきました。

結果は、とても肯定的なものでした。

(専門用語については、セミナーで基本からわかりやすく説明します)

彼は、軽度ながら精神病水準で苦しんでいたために、
「パワー」のワークは、適切でなく(機能せず)

~病態水準を顧(かえり)みずに、
上記タイプのプロセスワークを繰り返すと、
「パワー」を統合できないことに、罪悪感を覚え、
クライアントの人は、自分にハラスメント/バッシングを行い、
自分が嫌いになりかねません~、

まずは、コフート的な「ミラーリング」や、
ミンデル的な『(新種の)共感』を必要としていました。

(彼とのやり取りの詳細は、彼との承諾から、セミナー参加者に
お話しします)

11)ミラーリングや共感を必要としたのは、
わたしたちにわかりやすい言葉で言うと、
彼がパートナーに
~セラピーの場面では、転移という形でセラピストに~、
「甘え、グチを言い、それを効いてもらい、それににOKを出してもらい、
深く共感してほしかったからです」。

彼は、パートナーやセラピストが、
先ずは、「自分の良質な/自己愛願望を満たす『手足』」に、
自覚的になってくれることを、無意識裡に欲していました。

(*日本人の多くには、「主体の確立」を前提とした欧米流のワークでは、
実践上/現場では有益でないことが少なくなく、

主体確立「以前」の「甘え、あいまいさ、境界(線)のゆるさ」とどうかかわるか、
それらと取り組めるようになれるかどうかが、
自分の腕で食べていける対人専門職人になる上での岐路になります)

12)こういったアプローチが臨機応変にできるのは、
一つは「関係性」に対するセンス、
二つは経験知によるものが大ですが、
三つ目として、
病態水準/健康次元についてよく知る、身体知を身に付けることが
欠かせません。

そうした各点について、みなさまとご一緒に学べる機会を楽しみにしています。

「病態水準」に関する実践的心理療法、コーチング、ファシリテーションに
ご関心のある対人援助の専門家や学生の方、
また一般の方、初心者の方のご参加をお待ちしています。

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日時:6/23(日) 10:00~17:00(開場9:50)

講師:富士見ユキオ

会場:富士見心理面接室(都内)

参加費:21,000円(税込)

お問い合わせ先:プロセスワーク研究会
FAX:03-5570-2860
E-mail:
URL:www.fujimi.in