特別寄稿 変化の時代をどう生きる? 二子 渉
特別寄稿
変化の時代をどう生きる?
二子 渉
「もっとも強い者が生き残るのではない。もっとも賢い者が生き残るのではない。唯一、生き残るのは変化する者である。」 チャールズ・ダーウィン
進化論的に考えて未来があるのは変化する者。そしてあまり指摘されませんが、進化が起こるときには当然、それまでの形質のほとんどが受け継がれます。だからより正確に言うなら「生き残る者は、それまでのよい点を保持しながら必要な変化を受け入れる者。」過去を否定するのではなく、何を残して何を変えるのか、それを見極めて変化していくとき、私たちの未来は大きく開けていくのではないでしょうか。
震災によって日本の社会は当面、混乱しつつ社会構造レベルで大きく変化していくでしょう。先住民文化や持続可能社会について学んだ人なら、これまでの社会システムが持続可能性に乏しいことを知っていました。つまり主体的に変えていくか、座して破綻を待つかしかなかった。その、元からあったテーマが震災によって急激に表面化しつつあります。
その選択を迫られたら、僕はもちろん主体的に変えていくことを選びます。それは誤解を恐れずにいえば、僕にとってはとてもクリエイティブで楽しい作業です。災害そのものを喜ぶ必要はないけれど、この出来事をどう受け止め、どう活かしていくのかは、僕らの自由であるはずです。
僕個人が選ぼうとしている変化の方向は、社会レベルでは経済活動や資源・環境についての持続可能性の根本的な向上、個人レベルでは、一人一人がほんとうに自分を大切にして生きるという方向。
さてでは僕ら一人一人に何ができるでしょう。これはなかなか大きな問いです。これか当面は混乱をともなう情勢であり、トップダウンで計画的に役割をあてがえるとは僕は思いません。一人一人が自分の持ち場で、考えながら最大限能力を発揮するほうが現実的だと思う。
そのためにどうするか。カウンセラー/経営コンサルタントとしてのつたない経験からいうなら、自分なりに、たましいの底から喜べる道を見つけていくこと。そうすることでしか、一人一人のポテンシャルが最大に活かされる道はないのではないでしょうか。他の人が立派なことをしていたからといって、それを無理にまねてもしょうがないし、自己犠牲をともなうやり方も当然長続きしません。
そしていいニュースもあります。僕は仕事柄、日々そういう生き方のお手伝いをしているのですが、ほんとうの喜びにつながることで、身勝手な人が増えることには決してならず、むしろ社会全体がよくなっていくことに直結する。そのことを日々実感しています。
いろんな人が、あなたについて不謹慎だとか無知無能だとか勝手な批評をするかもしれません。でもいまこそ一人一人が、ほんとうに自分にとって大切なことをみつけ、それを大切にして生きるときではないでしょうか。みなさんにとって、たましいをかけてでも生きたいと思える人生はどんなものでしょう?
それをしっかり見据えながら、この大きな変化の時代を超えていきませんか? そんなあなたに、僕は心からの声援を送りたいです。
二子 渉(ふたこ・わたる)
工学博士。日本プロセスワーク協会理事。心理カウンセラー/経営コンサルタントとして、一人一人が自分の願いとつながり、それを社会の中で活かしていくサポートを行っている。またネイティブアメリカンの「自然と共生する智慧」を伝えるワークショップなども行っている。ウェブサイト「風使いの小屋」(http://www.geocities.jp/processworkwf/)