「うつ」への基本的&多次元的理解とアプローチ
ここ数年の間、プロセスワーク研究会では、
「うつ」の新しい見方を紹介してきました。
(1)従来のうつはメランコリー親和型と呼ばれ、
まじめで几帳面で自罰的なパーソナリティの人が
中年期に患う「昭和型のうつ」でした。
それに対して、近年、自己愛的で、気が短く、他罰的な
ディスティミア親和型うつや、双極2型の軽うつ、その他
新種のうつが若者層を中心に広がり、注目が集まってきています。
(2)うつが着目される理由の一つは、誰もが罹り得る精神的/
心の風邪のようなものだからです。
また、それは放っておくと自殺を誘引するリスクを含んだ
精神的/こころの病いであると考えられているからです。
(3)うつを喚起する要因には、いろいろな説があります。
(a)たとえば、大切な人やペット、モノ、趣味、能力などの
喪失です(これを「対象喪失」といいます)。
(b)中高年期や更年期は、肉体的体力の衰えや、地位、立場、
役割などの大きな変化を伴いますが、それらもうつのきっかけに
なると言われています。
(c)若い人のうつは、背景に「永遠の少年/少女性」があったり、
摂食障害や、人格障害があったりします。
(4)ですので、このセミナーでは、各病態水準とうつの関係に
ついてもお話します。
うつにも病態水準があるのです!
神経症圏のうつ、自己愛パーソナリティ障害圏のうつ、
境界パーソナリティ障害圏のうつ、統合失調症圏のうつには、
違いがあります。
従来このあたりのことは、あまり言われて来ませんでしたし、
着目されませんでした。
しかしうつの病態水準や種類の違いによって心理セラピーや、
病院での医学的治療の利用方法は、変わらなければなりません。
(5)心理カウンセリングやコーチング、セラピーに訪れる
心理的悩みの中で一番多いのは、軽うつです。
また大うつ病も少なくありません。
ですので、カウンセラー、コーチ、セラピスト、ヒーラー、ボディワーカー、
プロセスワーカー、ファシリテーター、コンサルタントといった立場の方は、
うつの基本を学んでおくといいと思います。
このセミナーでは、うつの基本と多次元的理解の仕方、アプローチや、
医療機関との連携、協力の取り方についても学びます。
(6)また、うつの人を抱えるパートナーや家族支援についても
考えていきます。
(7)うつとの心理セラピーには、対象喪失に対する「喪の作業」が
必要になるのですが、これは心の仕事としては、最も困難で
苦痛を伴うと言われています。
それについても、じっくりと考え、とり組んでいきましょう。
(8)医学的アプローチや、行動療法、システム理論といった
科学的アプローチは、うつ(病気)を「モノ(物)」として扱います。
これらのうつへのとり組みには、一定の効果があることが知られています。
それに対して、「主観/私」や「共同・間主観/私たち」を扱う心理療法、
カウンセリングなどは、うつに対して、「心」との関係でアプローチしていきます。
このセミナーでは、対象喪失に対する喪の作業を初めとする、
うつへの主観的、間主観的とり組みをいくつか紹介します。
(9)しかし、それに終わらず、主観、共同主観、心の深みの領域である、
(a)ドリームランド(b)ドリーミングに下降し/赴き/参入・イニシエイトして、
うつととり組んでいきます。
それには、以下の魂やスピリチュアルな諸伝統が参考になります。
A.錬金術のニグレド(プロセスが黒く化ける、変容することの重要性)
B.シャーマニズムの地下世界への旅
C.ケイローンやヘルメスといったギリシャ神話
D.V.ジェネップやV.ターナーといった象徴人類学者が報告した
多様な先住民文化の通過儀礼(リミナルやコムニタスについて)
E.修験道の儀式
(10)ユング心理学は「中高年期・老年期うつ」との取り組み
への宝庫ですので、そこから
(a)心の全体性とうつ
(b)SELF/「自己」への道とうつ
(c)男女両性具有がシャーマンへの道であることと、うつ
といったことについて、考えたいと思います。
*その他、うつに取り組む上で有益な、(a)語源から想起されるイメージ、
(b)変容のイメージ、(c)変容を抱える心理的器/コンテイナーの重要性
などを問りあげますが、次回書かせていただきます。
うつに関心のある初心者の方、うつへの多様なアプローチや、うつと
プロセスワークについて関心があるみなさまのご参加を心からお待ちしています。
日時、開催場所、問い合わせ
日時: 6月19日(日) 10:00~17:00(9:50開場)
*今回は参加人数に限りがあります。ご関心がある方はお早めに
ご連絡ください。先着順です。
講師:富士見ユキオ
会場:都 内
参加費:21,000円(税込)
(セミナー当日、会場にてお支払いください)
お問い合わせ先:プロセスワーク研究会
FAX:03-5570-2860
E-mail:
URL:www.fujimi.in