解離、スプリッティングとエルダーシップ
この数年、心を守るために心を分断したり
解離させている来談者の方が、とても増えています!
プロセスワークの1次、2次プロセスは、
ユングのNO.1、NO.2パーソナリティ(人格)
を受け継いだものですが、それは、1、2次
プロセス(NO.1、2人格)が、心に併存
していることを示しています。
しかしそれは同時に、異なる2つのプロセスが、
解離し、スプリット(分裂/分割)したまま、
存在しているかのようです。
この考え方は、1次プロセスが自我(意識)で、
2次プロセスがその下に「抑圧」されている、
とするフロイトの心の上下モデルより、
クラインの「スプリッティング」や、
サリバン、そして「解離」などのモデルに近いと
言えます。
プロセスワークは心の守りを「エッジ」
と呼びますが、それは「抑圧」(壁)だけでなく
「スプリッティング(分裂/分割)(溝)
も考慮に入れています。
スプリッティンや解離は心の中に一つの人格
(NO.1人格)だけでなく、複数人格
(例えばNO.2人格)の存在を前提にしています。
プロセスワークも、心に多重/複数人格、
複数プロセス、多様性、多神が存在すると考えて
います。
それは一つの人格(例えば自我)に、他人格や
多様性を統合する従来のモデルと異なります。
統合モデルに対して、多重人格モデルは、
心の治療に「共存」や「関係作り」を提案します。
例えば、「解離性人格障害」の治療には、統合モデルは
時に暴力的で、副作用が多く、共存/関係パラダイム
がより有効と言われます。
この関係作り、共存のあり方を、プロセスワークは、
「深層民主主義」と呼びました。
しかし、ある下位次元での多様性の肯定
(深層民主主義)と、その上位次元での包括/総合、
統合が相反しないことは、A.ケストラーの「ホロン」
や、K.ウイルバーの「統合心理学」に説明されている
通りです。
プロセスワークは、共存、関係パラダイムに加えて、
合意現実、夢現実、センシエント/ドリーミング現実の
3現実を想定した縦レベル・モデルを取り入れています。
フロイト派も、統合失調症水準や境界性人格障害水準の
ような下位次元での「スプリッティング」と、
より上位次元である神経症水準での「抑圧」との
両方を肯定しています。
多様性を包括/総合するロール、フィギャー、
イメージ、人格、心のあり方ないしはアウェアネスを、
私たちは「エルダー(長老)」と名付けました。
このセミナーでは、スプリッティングや解離の基礎、
またそれらの意味や肯定面ならびにマイナス面について
お話し、その後で、それらをどうプロセスワークの中で
活かしていくか、また、現代の来談者の相談に役立てるか、
体験(ワーク)を通じて学びます。
特に、深層民主主義とエルダーについて、
現代の個人、家族、組織の悩みやテーマに取り組むために、
振り返りたいと思います。
プロセスワークの初心者、中級者、カウンセリングに
ご関心のある方のご参加を、心からお待ちします
(初めての方にも自由分わかり易い内容になっています)。
日時:7/20(月、祝)10:00~17:00
開場:9:50am
開場:都内
参加費:21,000円
講師:富士見ユキオ
お問い合わせ先:FAX:03-5570-2860
E-mail:gdmwx113**ybb.ne.jp(**を@に変更)
追記2(7月7日)
プロセスワーク研究会では、
「臨床的プロセスワーク・セミナー」をご提供
させていただいています。
現役のカウンセラーの方はもちろん、
将来カウンセラーを目指している方に有益な
セミナー内容を心がけています。
また、コーチ、ファシリテーター、
対援助職の方、医療関係の方のもお勧めです。
加えて、プロセスワークやカウンセリングに
ご関心のある一般の方々にも理解しやすく、
充実した内容になるよう努めています。
さて、今回のセミナーについてですが、
解離やスプリッティングとのワークで大事な点は、
問題が自我(一次プロセス)と無意識(二次プロセス)
との間にあるのではなく、自我自体がスプリット
(分断/分裂)していることです。
健康な自我が白と黒の混じった「全体」であり、
この全体性を受容したものであるとすると、
分断された自我は、いまだ全体性に成っておらず、
白または黒の「部分」に留まっている状態です。
白と黒の両側面を統合した全体になったときに
初めて、自我は一個の主体になれ、
無意識と良い形で内的に対峙できるのですが、
解離やスプリッティング状態にある自我は、
それ以前のところで止まっています。
プロセスワーク的には、一次プロセスが、
二つに割れてしまっています。
全体でなく部分に、いわば「スライス」され、
「やせ細った」脆弱な状態です。
神田橋先生流に言えば、おまんじゅうの
あんこを包む皮が、とても薄くなっている
イメージです。
ですので、スプリットされた自我が無意識と
ワークしようとすると、薄皮が破れそうに
なったり、薄皮が破れてあんこが出て
しまったりして自我が危機状態に陥るか、
(*この時、意識状態は、スプリッティングや
解離によって変性/変成しています。
しかし残念ながら、それはスピリチュアルな
変性意識ではなく、統合失調症的極限状態です。
この場合、プロセスワークに加えて、
医学的治療が必要なこともあります)、
あるいは、薄皮にもかかわらず、割れた自我を
必死に守ろうとして意固地になったり、
力づくで、無意識や他者を排除しようとします。
(スプリットや解離した自我は一見とても
強そうに、また硬そうに映ります。
しかしバウンダリー/皮は薄く、また
柔軟性を保持できません)
「私は白なんだから、黒のあなたは向こうに
行って」とばかりに他者を追いやろうとします。
追いやらざるを得ないのです。
(バウンダリーが薄いのですから)
ここでのプロセスワークには、
(1)ドリームアップやゴーストロールを関係性
を通じてセラピスト/プロセスワーカーが
見極めること、
(ドリームアップやゴーストロールについては
セミナー中に詳しくご説明します)
(2)それらによってセラピストの心に
浮上する反応やプロセスを、クライエントが
(クライエントのスプリットした自我であっても)
受け入れることのできる形に加工/料理して、
提供すること(ビオンのコンテイニングを想像して
ください)
(ここでクライエントのバウンダリーの薄さに
配慮することもとても大切です)、
(3)「大地とのワーク」などです。
解離やスプリッティングによって浮上する
変性状態は、
(1)統合失調症状態や
(2)境界性人格障害状態を喚起しますが、
この二つの極限状態とのとり組みは、
とても異なります。
その辺りのことは、
自我のあり方の見極め方に、
プロセスワークの「エルダーシップ(長老の心)」
をプラスして、詳しくお話しします。
日時:7/20(月、祝)10:00~17:00
開場:9:50am
開場:都内
参加費:21,000円
講師:富士見ユキオ
お問い合わせ先:FAX:03-5570-2860
E-mail:gdmwx113**ybb.ne.jp(**を@に変更)
追記3(7月8日)
スプリッティング(分裂/分断)や解離は
「防衛規制」の一つですが、それらと共に
浮上する他の「防衛操作」に「万能、卑下、
原始的・極端の理想化」そして「投影同一化」
があります。
このうち今回は「投影同一化」について
お話します。
投影同一化は”projective(投影)identification
(同一視/同一化)”の訳です。
これを最初に言ったのは、M.クラインです。
まず「投影」ですが、それは読んで字の如く、
自分のマイナスの部分(これを「陰」としましょう)
を誰かに「投」げることを言います。
これに対して「投影同一視」はまず自我が
スプリッティング(分裂/分断)している
ことが前提です
(投影は自我が分裂していない、
つまりある程度の『全体』性を保持している
神経症水準でも生じます)。
次に自我が分裂して「黒」や「悪魔」になった
『部分』、切り離された『部分』を誰かに投影して、
『さらに』
その部分と、その誰かとを同一視
(部分をその誰かの全体像と誤謬、誤解)し、
~この誤謬、誤解を維持するためにも~
その誰かを「黒、悪魔」と卑下、見下し、罵倒し、
そして/あるいは、攻撃、支配、操作しようと
することを言います
(これらは私、富士見の解説です。
多くの文献に当たったのですが、
わかり易いものがなかったため、私が文章
にしました。これはあくまで私案なので
その点をご了承、ご注意下さい)。
これはクラインの「対象関係論」という
新フロイト派に従ったものなので、あくまで
心の『内界』における私とあなた、『内的』
赤ん坊ー母親を中心としたものです。
ですので、「投影同一視」という「視覚チャンネル」
的な訳になるのです(クライン派は内側を視よう
と努めるわけですね)。
これに対して、より新しいフロイト派のT.オグデン
を信奉する日本の精神分析の人たちは、
全く同じ英語”projective identification”を
「投影同一化」と訳しました。
これは、オグデンが「内的」側面だけでなく、
対人関係(インターパーソナル)側面
(プロセスワークの「関係性チャンネル」)や、
行為/行動面を重視したからです。
Projective identificationは対人関係の中で
魔法、魔術(「黒魔術」も含むので
恐ろしくもありますが)のような働きをします。
そこが今回のセミナーの「みそ」なのですが、
それについてはセミナーでじっくりとお話しします。
*さて、今回ここまで長くお話ししたのは、
オグデンの投影同一化がヒントの一つになって、
プロセスワークで臨床上最も重要な
「ドリームアップ」や「ゴーストロール」
が生まれたからです。
私がアーニーに指導を受け始めた初期に、
今回お話していることについて尋ねると、
オグデンの論文や、H.コフートの本を
読むように強く奨められました。
日本語訳のミンデルの初期の本の何冊かにも
参考文献としてオグデンやコフートが
載っていますので、みなさんもプロセスワーク
を臨床的に活かすには、参考にしてみては
いかがでしょうか?
解離やスプリッティングについて学ぶには
「投影同一視/投影同一化」「ドリームアップ」
「ゴーストロール」について体験的に深く理解する
ことが欠かせません。
みなさまのセミナーへのご参加をお待ちしています。
日時:7/20(月、祝)10:00~17:00
開場:9:50am
開場:都内
参加費:21,000円
講師:富士見ユキオ
お問い合わせ先:FAX:03-5570-2860
E-mail:gdmwx113**ybb.ne.jp(**を@に変更)