副会長就任のあいさつ(鈴木規夫)
今期より、副会長として、JTA の運営に参加させていただくことになりました。どうぞよろしくおねがいします。
JTA とは、2004 年の伊豆の大会で講演をする機会をいただいてからのおつきあいとなります。今年より、こうしたかたちで、これまで国内のトランスパーソナル運動の中心的存在として活動してきたJTA に参加することができることを光栄に思います。
トランスパーソナル運動を理論と実践の両領域において牽引してきた思想家ケン・ウィルバー(Ken Wilber)は、今日、われわれが生物種として経験する危機の本質を「エゴ」(Ego)と「エコ」(Eco)の乖離と分析しています。即ち、これは、問題解決にとりくんでいくうえで、精神的成長等の自己の内的な変化や成長を重視する内面志向的なありかた(Ego)と共同体の制度改革等の社会の物理的な装置の修正や改革を重視する外面志向的なありかた(Eco)が、相互に対立して、統合的な解決策を創出することのできない麻痺状態ということができるでしょう。今日においては、こうした乖離は、持続可能性の問題にたいする内的な対応(例:価値観の変容)と外的な対応(例:代替エネルギーの開発)が、真の意味で統合されず、「無秩序」に展開している状況に端的に観察することができます。
こうした状況に統合をもたらすことができるためには、内面性と外面性を峻別する——そして、さらには、内面性と外面性を乖離させる——意識のありかたそのものを超克することのできる意識構造が必要となります。そして、「大量殺戮の世紀」と形容される20 世紀という時代を背景にして、トランスパーソナル運動がこれまでに格闘してきた課題とは、正にこうした課題でした。
東西間の冷戦の終焉後、束の間のあいだ成立した平穏が急速に雲散霧消するなかで、21 世紀において、われわれは再び動乱の時代に突入しようとしています。そこでは、自然資源の枯渇や生態系の崩壊等、惑星規模の危機を背景として、人類は、これまで以上に過酷な状況のなかで、生存と共存の方法を模索することを要求されることになります。それは、不可避的に、20 世紀にわれわれが経験した危機をあらゆる意味において凌駕する絶望的に大きな挑戦ということができるでしょう。
こうした状況のなかで、トランスパーソナル運動は、その歴史的な使命を果たすことができるために、あらために自己に要求されているものを見定めるべき転機にあるとわたしは思っています。そんな問題意識をいだきながら、今後、関係者の方々と協力して、JTA のために貢献ができることを夢想しています。







