特別寄稿
災害の後で
災害と悪夢について
田尻 宇成
(本学会常任理事)

みなさん、こんにちは。まず、震災と原子力発電被害に遭遇されている方に、心からお悔やみもうしあげます。
7月に来日する、ジェレミー・テイラー博士の来日を念頭に、夢へのアプローチを書く予定でしたが、東北地方太平洋冲地震の発生を受けて、災害後にみることがある悪夢への対応に重点をおいて、国際夢研究協会他からの内容を引用しながら紹介します。マスメディアで大量な被災地や被害者の情報が流れていますので、直接の被害者はもちろんのこと、被害をうけなかった方も、悪夢をみる可能性があると思われます。
人間が恐怖や心配を感じるとき、私たちの意識の深層は、その状況への対応に追われます。つまり、身内のだれかがなくなったり、一瞬のうちに、津波に飲み込まれたりする異常な状態に身をさらされてしまうと、そのときは、自分を守ることが精一杯で気がまわらなくなります。しかし、もう一つの意識は、あったことの全てを記憶していると考えられています。そして、悪夢をみることで、2つ事柄につじつまをあわせようという密かな作業がおきているのでしょう。意識において、また、無意識下で、その作業が終わるまでは、繰り返して、悪夢がくりかえされる可能性があるのではないでしょうか。悪夢をみるということを、否定的にとらえるより、意識のプロセスの一部だと受け止め、建設的に意味を見いだそうという心的態度を持つことが、大切なことだといわれます。
ところで、起こった事実を変える事はだれもできません。しかし、悪夢の内容を変える事はできます。そこで、悪夢を観ていらっしゃるか方は、もし、できることなら、夢を観ている時、いままでとちがう事をすることをおすすめします。もちろん、言う事は簡単ですが、すぐに実行できる人はすくないかと思われます。これは、明晰夢といって、多くの人はそれができるまでには、訓練が必要かもしれません。しかし、覚醒時に、「夢のなかで、自分の意志どおりに行動できる可能性があるのだ」と考えることが、明晰夢をみる第一歩です。その他、日中、夢の内容を思い出し、書き留めます。その時、夢で自分がどのように振る舞ったらいいかを考え、書き留めたものに、添削をいれて、自分の想い通りの夢にして、書き換えるのです。そして、寝る前に、とくにうつらうつらした時に、書き換えた夢のことを思い出すようにしてみてください。すこし努力が必要かもしれませんが、だんだんと内容がかわっていくといわれています。
今さらでもありませんが、夢は、いろいろな内容をもっています。スタンリー・クリップナー博士は、『特別な夢とその生かし方』という本のなかで、13種類のタイプに分けています。その中には、創造性を活性化させる夢、癒し、過去生、死んだ人がでてくる夢など様々です。
 夢は我々の覚醒時での経験を、ちがった角度から見せてくれているのかもしれません。しかし、おそらくそれだけではないでしょう。夢は、大昔のこと、未来、
そして、自分が普通では考えないことも、教えてくれる事もあります。最近僕は、鳥越さんという女性が夢にでてきましたが、そんな方はまったく知りませんし、その名前を考えた事もありませんでした。時間をとってワークをしないと、これもわからないでしょう。いったい私たちの意識はなにを示しているのか? 私たちの一人ずつの意識の構造や内容を、ドリームワークを通して、内容を理解していくと、自分に対する考え方もかわってゆくのではないかとおもいます。災害の時だけでなく、普段の時からも、夢を大切にしてください。
そして、ぜひプロジェクティブ・ドリームワークの開発者、ジェレミー・テイラーの講演に参加されてください。そこでは、みなさんと明晰夢についての短編ドキュメンタリー映画を観賞し、インセプション、夢と私たちの覚醒時の夢、復興についても深く語りましょう。