【その40】パワハラ撃退 その1

パワハラにあってしまった場合、多くのケースでは、被害者は、なすすべもありません。そして被害者の中から、精神的不調に陥ってしまう人が出てくる場合もあります。パワハラは、地位を背景にしていて、しかも人事考課の査定という人質をとっていますから、なかなか対抗策を打ち出すことも難しいのです。さらに、パワハラをするハラサー達は、さらに地位が上の人達には、都合のいい情報しか流さないことが多いですから、困ったものなのです。

しかし、中には、見事にパワハラを撃退した例があります。

その会社(仮にA社としておきましょう)のB部長(男性)は、人前で部下を怒鳴りつける、しつこく説教する、人格攻撃をするなど、典型的なハラサーでした。また、始末に悪いのが、C課長(男性)で、彼は、B部長のイエスマンで、B部長といっしょになって、部下を攻撃していました。その職場は、女性が多い職場でした。

B部長も、C課長も、パワハラだけではなく、セクハラ的な言動もありました。部下の中には、不安障害になり、出社できない人も出てきていました。

B部長が赴任した当初は、きびしいけれど元気な上司という感じだったのですが、次第に暴言が多くなっていきました。C課長の前任のD課長は、B部長と部下との防波堤になってくれていたのですが、C課長に代わってからは、パワハラは留まるところがなくなっていきました。部下達は、休み時間やアフターファイブには、B部長やC課長に対する不満を述べていたのですが、その不満のはけ口はなく、事態はまったく変わりませんでした。

そんな時に、ある事件が起きました。

職場の中堅のEさん(女性)が、仕事上でちょっとしたミスをしました。Eさんのミスは、大したものではなかったのですが、B部長は激怒し、C課長が援護射撃をするといういつものパワハラパターンになり、Eさんは、課員の前で、ふたりから怒鳴られてしまいました。こうした光景は、それまでもしばしばあったのですが、その時、B部長とC課長がとんでもない暴言をはきました。

C課長は、Eさんに、「そんなことだから、だんなに逃げられるんだよっ!」と、仕事とは関係ないプライベートなことを持ちだしてきたのです。B部長は、C課長の発言を注意することもなく、「まったく、どうしようもねぇーな!」と吐き捨てるように言い放ちました。

Eさんは、仕事上のミスをとがめられるのなら耐えられたのですが、離婚と言う業務とはまったく関係のないことを責められたことにショックを受け、その日早退し、次の日も会社を休む事態になりました。

この一部始終を聞いていた他の課員たちが、B部長とC課長の発言に激怒したのです。その場では、皆だまっていたのですが、Eさんが休んだ日の夜、職場のみんなで集まって、B部長とC課長は許せないということになりました。怒りをあらわにしたのは、10人いた女性課員で、2人の男性課員は、女性たちの勢いに引っ張られたというかっこうでした。

彼らは、その後も何度かパワハラにどう対応するか話し合うためのミーティングを行い、ある作戦をたて、そして、その作戦を実行することにしたのです。

まず、女性課員のFさんGさんが中心になって作った、「B部長、C課長のEさんに対する発言は許されるものではない、また、これまでの彼らの言動はパワハラである」という内容の書面に、課員全員がサインをしました。

その次の日、作戦は決行されました。

向後善之

日本トランスパーソナル学会 常任理事 事務局長

ハートコンシェルジュ カウンセラー