【その36】むむむな体験

この1ヶ月ほど、少々不安な日々が続いていました。実は、健康診断でひっかかって、癌の疑いありって言われてしまったのです。まあ、とほほ通信でこんなことを書いていると言うことは、結果から申し上げますと、癌ではなかったということになりました。まずは、ほっとしました。

発端は、血尿です。僕は元々、結石持ちで、15年ほど前、17年前に2度入院したことがあります。その時も血尿が出たので、今回もすぐにおさまるだろうと思っていたのですが、いつまでたってもとまらないんです。たまたま、そのとき、健康診断の予定を入れていたのですが、やはり血尿が出てしまいました。そのときは、肉眼ではわからなかったのですが・・。

その後、泌尿器科でCTとレントゲン検査となったのですが、案の上腎臓に結石がありました。結石の一部が出てきた時にどこかを傷つけて血尿になっているのかもしれないとのことでしたが、1週間以上も血尿が出ていることから、さらに詳細検査が必要と言うことになりました。お医者さんに原因を聞くと、いくつかの病名を説明してくれましたが、腎臓、膀胱、あるいは前立腺がんの可能性もあるとのことでした。

ネットで「血尿」と調べると、「もっとも怖いのが癌」などと書かれています。ただ、最近の医療の進歩はすばらしく、膀胱がんの中には、手術なしで治るものもあるらしいです。なんでも結核の治療薬を膀胱に注入するというのを一定期間続けると、がんが完治するのだそうです。そういえば、かつて「丸山ワクチン」というがんの治療薬があり、確かそれは結核の薬だったなと思います。そのころ、丸山ワクチンは、医学界からキワモノ扱いされていたように記憶していますが、やはりある所の癌には効果があったのですね。

おかげで、泌尿器系のがんの知識には詳しくなりました。

お医者さんからは、「来週、膀胱内視鏡をしてみましょうか」と軽くさわやかに言われました。・・と言うわけで、1週間後に、その検査を受けることになりました。

当日、病院に行くと、僕は別室に行き、ガウンに着替えました。看護師さんに「ここでお待ちください」と言われ、僕はベッドに腰掛けて先生を待っておりました。そのベッドには、妙なものがついていました。要は、女性が出産するときに足を乗せる器具が、ベッドの両脇に、昆虫の触角のように生えているのです。「へぇー、泌尿器科にも、こういうのがあるんだ」と、僕は、興味津津でした。

しばらく待っていると、看護師さんと先生がやってきました。看護師さんは、「あっ、下着は脱いでください」と言います。私は、素直に下着を脱いで、再びベッドに座ると、今度は、先生が、「それでは、ここに足を乗っけてください」と、またまたさわやかにおっしゃいます。な、なんと、例のベッドから生えている触角を、僕が使うはめになってしまったのです。両足を片足づつその器具の上に乗せ、僕は、あられもないかっこうになってしまいました。「もう、どうにでもして!」って感じです。しかし、それは、これから起こるめくるめく体験の序曲にすぎませんでした。

おもむろに、先生は、内視鏡を取り出しました。僕は、ギョエッ!っと思いました。膀胱内視鏡ですから、きっととても細いものだと勝手に想像していたのですが、な、なんと、それは、胃カメラと同じくらいの太さがありました。「えっ、それなんですか」と僕。先生は、これまたさわやかに、「そうです。これが内視鏡です」とおっしゃり、さらに、「まず、尿道を痛めないように、ゼリーを注入しますね」と言いながら、注射器で・・。

僕は、なんとも妙な感覚に、「麻酔は無いんですか」と聞いたのですが、「ありません」とのお答えでした。その後、いよいよ内視鏡検査です。これが、息が止まるような、そして、なんとも変な感じなんです。なにしろ、そもそも膀胱から外へという本来の流れに逆行するのですからね。

先生は、平然と「ここが前立腺です。ここは異常ありませんね」などと画面を見ながら説明してくれるのですが、僕はそれどころじゃありません。

内視鏡は、ついに膀胱まで達し、そこで、360度、膀胱内をチェックするのです。いやー、はっきりと映るものです。幸い、膀胱から尿道まで、異常はありませんでした。

検査が終わった時、僕は、精も根もつきはてたって感じでした。

結局、なんの異常も発見されず、2週間後に出た尿検査の結果も、癌の兆候なしということになりました。やれやれで、ございました。

しかし、がんの可能性ありなどと聞くと、やばいという気持ちになるものです。

入院ともなったら、カウンセリングオフィスはどうしようか?クライアントさんをだれにリファーしようか?入院先で、スカイプでカウンセリングはできないか?もしものことがあったら、家族に残す財産なんてほとんどない!やり残した仕事がいっぱいある!せっかく8月に本を出版するのに、それが店頭に並ぶのを見れないかも・・・などなど、不安(一部妄想)が膨らむばかりでした。

本当にがんになった人は、僕の感じた不安の比ではないんだろうなと思いました。

その不安がなくなって、とりあえず、やれやれです。

同世代のサザンの桑田さんが食道がんになったとのニュースがありましたし、僕も気をつけなきゃです。

向後善之

日本トランスパーソナル学会 事務局長

ハートコンシェルジュ カウンセラー