『個人神話とプロセスワークのナラティブ(物語)療法~子どもの頃の夢と大地の心理学~』

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3/14(日)『個人神話とプロセスワークのナラティブ(物語)療法~子どもの頃の夢と大地の心理学~』

『ユング自伝』(みすず書房)でユングは、自分の人生は
(意識ではなく)無意識の実現でありその受け皿は「神話」であ
ること、また「個々人」の人生は差異と多様性に満ちており、
自分ができることは、「個人神話」について物語ることだと述
べています。プロセスワークは、「子ども頃の夢」との関連で
「個人神話」を紡ぐことを繰り返し推奨して来ました。ユング
は『子どもの夢』(人文書院)で、幼い頃の夢は、その人の人
生を「予見する」と述べていますが、プロセスワークは、そこ
には「アガスティアの葉」のように、ひとり一人の異なる人生
のコードが書き込まれていると考えます。

ここで大事なのは「子どもの頃の夢」を「神話」的次元まで
深めること、ならびにそれと主体的に関われる(強くもあれば
弱さにも開かれている)柔軟な「個(自我)」を作ることです
。子どもの頃の夢にはプロセスワークの一次プロセス(自我)
の側面と、二次プロセス(非自我)の側面とが描かれています
が、ユング的にいえば人生前半では一次プロセスの語りを応援
するアプローチが重要です。

自我に対する非自我は、ナラティブ・セラピーの「ローカル
(local)」なプロセスに当たります。人生後半では、このロ
ーカルな二次プロセスが語りの中心となっていきます。従来の
自我の物語が外的(社会)適応のそれであり、既製品的な(ポ
ストモダニストの言い方をすれば)「大きな物語」であるとす
れば、非自我の語りはローカルで「小さな物語」です。これは
「内的適応の物語」であり、主観的なものであるため他者のそ
れと比べることができません。

大きな物語が他者との比較の中で、ベスト・ワン(ナンバー
・ワン)を目指すものであるとすれば、小さな物語はオンリー
・ワンを指向するものであり、テイラー・メイド(オーダー・
メイド)で紡ぎ織り上げるものです。小さな物語はアーティス
トや職人のように、自分が納得できるまで鍛錬し、何度も作り
直し、磨き上げていくものでしょう。こうしたことを魂やドリ
ームボディは、人生後半に私たちに要求してきます。「入念さ
」、「綿密さ」を仏語や英語では”elaborate”と言いますが
、この文字は職人の”labor(労働)”から成り立っています
。また、この仕事はI.イリイチの「ヴァナキュラー」を思い起
こさせます。それは「市場で売買されない、家庭で作られ、共
有地に由来する」と言う意味で、ヴァナキュラーな仕事は「手
仕事」を意味します。

さて、localには「地方の」という意味の他に、「局所的な
、場所の、ある土地特有の、地元の」という訳があります。自
分固有の小さな物語を語るにはあなたは「地方の、ある土地の
、場所の」中に根付く必要があります。抽象的な「社会」への
適応ではなく、ローカルな具体的な大地への指向が重要となり
ます。これについては、プロセスワークの最新の成果が詰まっ
た『大地の心理学』(コスモス・ライブラリー)を参照してい
きます。

このセミナーでは「あなた」の人生の物語を紡いでいきます
。それを織り上げるきっかけとして、子どもの頃の夢やあなた
にとって意味あるローカルな大地に触れ、神話的次元に目を向
けます。個人神話や子どもの頃の夢、大地、プロセスワークに
関心のある方のご参加をお待ちします。

日時:3/14(日)10:00~17:00(9:50開場)
場所:都内
講師:富士見ユキオ
参加費:21,000円
お問い合わせ先:プロセスワーク研究会
e-mail:gdmwx113*ybb.ne.jp(*を@に変えてください)
fax:03-5570-2860
URL:fujimi.in